朝鮮学校無償化手続き再開に強く抗議し
即時撤回を求める決議

わが党は、高校授業料無償化自体に反対してきたが、とりわけ朝鮮学校については、金正日の独裁体制を支えるための思想教育機関であり、日本国憲法や教育基本法に反する存在であること、それにもかかわらず、現行制度下では教育内容の是正を文部科学省が命じることができないこと、朝鮮学校を無償化の対象とすることは、北朝鮮に対して、拉致問題について、わが国が軟化したとの誤ったメッセージを与える危険性があることなどから、強く反対してきた。
しかし、多くの反対意見にもかかわらず、政府・文部科学省は朝鮮学校を無償化の対象とするための審査を進めようとしていたが、昨年十一月二十三日の北朝鮮による韓国・延坪島砲撃を受け、菅総理は、無償化手続きを「超法規的」に停止した。
国会審議で明らかになった再開の条件は、「国際的・国内的な状況が砲撃事件以前に戻ること」とされていたが、菅総理は、辞任直前の八月二十九日に突然、手続の再開を髙木文部科学大臣に指示した。北朝鮮は砲撃事件に対する謝罪を行っておらず、八月十日には韓国の延坪島付近の海上に砲撃を行っており、潘基文・国連事務総長は、十一日に「半島情勢がいまだに安定していないことを如実に証明している」と述べている。係る状況下で、菅総理がいかなる理由に基づき、「砲撃以前の状況に戻った」と判断したのかについて、韓国と事前に調整したのかなど、明確な説明は一切ない。
さらに、八月九日の「三党合意」では、高校授業料無償化について見直しを行うこととなっており、朝鮮学校を無償化の対象とする是非についても、当然、見直しの俎上に乗せられることとなる。それにも関わらず、民主党政権が無償化手続きの再開を決定した事は、「三党合意」に対する重大な背信行為である。
わが党は、今回の決定に対し、強く抗議するとともに、以下の通り、政府・民主党に対して求めることを決議する。

一.野田次期内閣は、北朝鮮の外交政策・拉致問題の解決に対し、誤ったメッセージを送る朝鮮学校の無償化手続き再開を直ちに撤回すること
一.拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ない事を、粘り強く北朝鮮に求めていくこと
一.朝鮮学校並びに朝鮮総連に対して、教育内容の是正が行われるまでは、無償化の対象としない事を通告すること
一.菅総理および髙木文部科学大臣においては、国会の場で、今般の経緯について釈明すること
一.三党合意を履行するため、高校授業料無償化の抜本的見直しを具体的に進めること


平成二十三年八月三十一日(水)
自由民主党