自民党は、前回のマニフェストで、(法律で義務付けるかどうかは別として)、インフレ目標設定の強化を掲げています。私もこれには、賛成です。
今日は、党本部に元上司、もと日銀副総裁の武藤大和総研理事長を講師に招きましたが、そこで、私は、2002年当時、武藤次官のもと、日本国債の格下げと、外資による売り崩しと戦っていた思い出?を思い出し、今度はどうですか?という質問と、もうひとつ、日銀に最近調べるように、宿題をあげ、おととい出来上がってきたレポートを引き合いにだしました。

 そのレポートとは、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインといった、欧州の財政破綻ないし破綻予備軍の国で、財政悪化で国債金利が上がり、賃金の下落、伸びの低下や失業率の急上昇が見られる一方で、悪しきインフレが生じて、実質GDPがさらに落ち込んでいることを、グラフで示して、説明してください、というものです。
 武藤元副総裁は、財政破綻というものが、悪しきインフレ、賃金低下、失業を通じて、庶民により負担され、庶民を犠牲にするということが現実によくわかってしまったことが、教訓、という言い方をしてましたね。

 私は、日銀の独立性を高めすぎてしまった、98年の日銀法改正は、ちょっと行き過ぎであった、と当時大蔵省銀行局にいて、思っておりました。多くの同僚もそう感じていました。しかし、大蔵バッシングのなか、日銀の専門家のほうがまし、という議論もあってこうなりました。

 日銀にはなかなか、優秀な人材がいらして、エコノミストは偉くならない財務省や金融庁よりは、客観的にはいい分析をします。しかし、経済政策は、最終的には政治判断であり、特に近年のように、とりうる政策の幅が限られ、どちらに行っても誰かが痛む状況では、金融専門家は、状況分析と選択肢の提示のみでとどまるべきです。

 それにしても、武藤氏も同じ感覚であったようですが、欧州5カ国より債務のGDP比率が深刻である日本で、インフレインフレ、と煽って、それが実現されたときは、2%で都合よくとまるような状況ではないでしょう。この5カ国ほどではないにしろ、急な金利上昇で経済混乱、企業は苦しく、失業は増え、給与は下がる。
 さらに、ECBが金融政策を行ってくれるEUと異なり、一国で巨額の財政赤字を日銀がマネタイズしなければな
らない日本では、インフレはもっと急激におきる恐れがあります。

 つまり、適度なインフレにする必要があるのは当然ですが、からからに乾いた干草で異常乾燥注意報が出ていて、周りで焚き火をやっていて、火の粉がぱらぱら飛んできるなかで、マッチ摺って大丈夫か、という細心の注意が必要ということです。
 明日、グラフを添付しますね。
 金融緩和とインフレターゲットですべて救われる、と誰かさんに言われて、信じちゃってる方、国民生活をもっとも破壊する状況は何か、レッサーイーブルの選択しか残されていないのですよ、今の日本には。