明日以降、名古屋市長の「南京大虐殺なかった」発言について、どういう展開になるか、予断を許さない部分がありますが、皆様からブログやツイッターに膨大なコメントをいただいたこと、日本も捨てたものじゃない、と安心しております。

私は、中国をシナと呼んだり、一方的に批判する立場ではありません。ただ、いかに表面上資本主義的に装い、実際ビジネスは日本よりずっと資本主義的?な面があろうとも、本質は共産党一党独裁国家であり、わが国に対して軍事的経済的脅威である、とは認識しており、だからこそ徹底的に研究しなければならないと思っております。
 ビジネスを行うにしても、企業進出する場合も、こちらが力を持っていなければ、儲からない、「食えない」相手である、ということも、多くの事例が如実に物語っており、昨日も日本の割安企業を買収して裏口上場を目論む中国企業とそこと組んだ日本企業が摘発されましたね。皆さんは対中ビジネスで、もっとご苦労されていることでしょう。
 日本の第一の貿易相手国であることは確かですが、両国関係の悪化は、日本にとってだけ困ることではありません。「力」しか信じない国であれば、それなりの対処方針はあるので、平和ボケした我々が、「周りの国は、本質的には、みな敵」という国際社会の常識を、痛いほど頭に叩き込んで戦略構築すれば、まだまだ打つ手はいくらでもあると思います。

 村山談話のときは、私は官僚で、政府の中枢の情報が入る場所にいましたが、自民党内では悔し涙の方もおられる中、ああいう形になり、イデオロギーに口を出せない官僚の世界でも「ここまでよく詰めないで適当に降りちゃっていいのかなあ?」という話が結構出ました。
 今回の河村市長発言を受けて、外務省の横田報道官は、「政府の南京事件についての立場は、村山談話から変わっていない」と答弁していました。横田氏も、アジア局長の杉山氏も能吏ですからどちらの方向にも踏み込みはしないでしょう。しかし、村山談話でさえも、談話の前提として、南京で、どのくらいの中国民間人が殺害されたのか、の事実認定は、なされていませんので、大虐殺の否定は、可能です。
 民間に非戦闘員に対する殺害行為があったことは認めても、それが、あちらさんの誇張するような「大虐殺」であったのか、は全く別の問題です。
 福田政権で実施が決まった歴史認識の研究でも、南京事件は、中国側は、30万人~40万人の虐殺、ですが、日本側は(残念ながらリベラル系の方が代表だったせいか?)殺戮は認める前提で当時の南京の人口20万人を最大限として4万~数万人、とぜんぜん一致しておりません。

  そこで、少数派のころから一貫して頑張ってこられた新しい教科書をつくる会系の「史実を世界に発信する会」(加瀬英明会長)が、おととしの胡錦とう国家主席の訪日時に、日中の真の友好を願うものとして、次の5つの公開質問を送っているのですが、中国政府はこれに答えていません。
 最近、ネットで前文が出ていますが、皆さんからのご意見を拝見する限り、ご存知ない方も多そうなので、かいつまんで大要を再掲させていただきます。

1、故毛沢東主席が南京戦の半年後に延安で講演しているが、そのときも含めて毛沢東主席は、生涯ただの一度も南京虐殺に言及していない事実についてどう考えるか?

2、南京戦をはさむ1937年12月1日から1938年10月24日までに、国共合作下の中国中央宣伝部が、300回記者会見しても、ただの一度も南京での市民虐殺にも捕虜の不法殺害にもふれてないという事実についてどう考えるか?

3、南京安全区の国際委員会の活動記録によると、南京の人口は日本軍占領直前20万人、占領一ヶ月後に25万人となっており、30万人虐殺はありえないが、どう考えるか?

4、日本軍の非行として訴えられたうち殺人は26件。しかも目撃があったのは一件でそれも合法殺人で、30万人虐殺とは一致しないがどう考えるか?

5、南京虐殺の証拠写真として記念館などに掲示掲載されているものは、その後の科学的な研究で、証明するものではない、となっている。もし虐殺を証明する写真があるなら、ご提示いただきたい。

 23年間の官僚生活、その後政務官、また議員外交など、かかわってまいりましたが、外交は、同じテーマでも、時々の状況で全く変わります。
 村山談話当時は中国をまだ途上国として、経済協力をし、制度を教えていた時代。
 世界第2位の経済となった中国に対しては、今こそ遠慮なくものが言えるのです。日中間に限らず、国際社会では弱くなったものがぎゃあぎゃあ言うと、周りがなんだなんだ、と聞いてくれる、ということが、結構あるんです。

 東シナ海だけでなく、南シナ海もあります。チベット問題はもちろんのこと、インドも、中東も。

 歴史は、国の魂。しっかりした歴史観を持って政治を立て直さないかぎり、日本の衰退は止まりません。