このブログやツイッターにたくさんのコメントというか、「これはおかしいんじゃない?」とのご意見が多かったので、状況を解説します。

 公務員の給与は官民比較で決まっており、退職手当についても、同様の考え方ですが、昨年までの調査で、公務のほうが15%,平均400万円高いとの結果が出て、法律改正により、国は3段階で引き下げることが決まりました。
 法案が国会通過成立したのは、11月16日。衆議院解散の日です。

 これに先立つ8月には、民主党政権の下、国が実施したら、地方も基本的には同様にすべき、という閣議決定が行われ、法案成立施行後、地方公務員法59条、地方自治法245条の4(技術的助言)に基づき、総務省(民主党大臣(当時))から通知を発出しているはずです。
 
 これに基づき、国は1月1日から400万円の約3分の一が下がり、各省調査によると、ごくわずか12月末退職はいたようですが、例年に比べて駆け込みが特筆すべきような状況ではなかったようです。

 地方は、手続き的に国のあとですから、どうしても2月1日、3月1日以降の退職から退職金が下がる、ということになり、ここで、「年度の終了、教え子の期末試験もせずに??あるいは受験の面倒も見切らずに、退職」という教員が出たり、治安上引継ぎの問題がどうなのか、などの疑問があっても退職してしまった警察官が出た、ということがここ2,3日相次いで報道されています。

 私が今日、これをブログに書かなければ、と思ったのは、このニュースに対して、ブログへのコメントは「情けない公務員だ」「教員としてこんなことでいいのか?」と、退職するほうを批判する意見が多いのに、今日のNHKのニュース9で、「こういう現象を生むような引き下げのやり方が悪い」という????なコメントをキャスターがしたからです。
 そもそも、公務の退職金が民間に比べて割高でいいのか?といったらそれは、国民の血税ですから、誰も納得していないわけですね。
 今回の3段階の引き下げの第一弾の国家公務員分だけでも、130億円。3段階全てやれば、600億円の国家公務員人件費節約、地方ではなんと3400億円もの節減になるのですよ!!

 このお金があれば、保育所の待機児童も相当解消できますし、その他地方が切望している事業に回せます。

 溜まりに溜まった債務の返済、財政赤字縮小にもなりえます。
 
 定年直前の「高級地方教員」の給与が仮に50万円としますと、3月31日まで待って退職するのと、2月1日で辞めるのとでは、2ヶ月分の給与がなくなり、退職金が150万円減るとすると50万円の差(かなりざっくりした割り切りで計算すれば)。
 50万円が惜しくてやることでしょうか?
 生徒を放り出したと言われ、周りから、あるいはマスコミからも批判されうるであろうことは、普通の常識があればわかるでしょうに。
 「寂しい」「そういう人が一人か二人出ることはあっても、ある程度まとまって出るとは思わなかった」

 こういう考え方は甘いのですかね。地方の教員や警察官の方々に、「矜持」や「性善説」を求めるのはもう無理、ということですか?
 であれば、退職時期を規制できますか?できませんよ。誰でも、いつでも辞める自由はありますから。

 公務というのは、広義の給与も含めて、制約のある仕事です。だから守られる部分もあるわけで、それだけの責任を負ってもらえる方、ということで任用している(はずの)、仕事し続けてもらう(はずの)職業です。

 ちなみに、3段階の第2弾引き下げは今年の10月、第3弾は来年の7月です。
 このタイミングですと、確かに年度内の残りの月数が多いので、その分の給与を捨ててまで、早く退職するインセンティブは低くなります。
 が、だからといって、今年度について、引き下げを行わなかったら、国で百数十億円、地方で1000億円近くの節減ができなかったことになります。
 そこまでして、「こんなことで辞めるのか?」という程度の自覚の駆け込み退職教員や警察官の退職金を守るべきでしょうか?

 報道する側は、そこまで説明した上で、公正中立なコメントをお願いしたいものです。