総務省行政評価局は、毎年、約150事業ある各省の公共事業について、数年で一巡するペースで、政策評価が客観的かつ厳格に実施されているかを点検しておりますが、今年は11事業(厚労省の水道水源開発、農水省の水産物供給基盤整備、環境省の廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進など)、94件につき点検し、4月5日に点検結果を発表しました。
 1)個別事業の評価について、費用便益分析(いわゆるB/C)の便益の算出過程に課題があるもの、2)費用便益分析マニュアル自体の内容に課題があるもの、について、点検結果を、以下のリンクでご覧ください!

 例年あまり報道されることがない、費用便益分析の点検が、共同通信などで報道されたのは、南海トラフ巨大地震対策、首都直下型地震対策、老朽化対策といった防災減災、いのちと暮らしをまもる公共事業を行っていかざるをえない日本の状況のなかで、国民が納得する事前評価とは何か、が今まで以上に関心事となっているからでしょう。
 先月の報道2001のテーマもそうでしたが、一番みなさんからご指摘があるのは、河川堤防など、「仮に決壊して水浸しになったときに失われる資産」は、事業によって被害を免れるので、総額が便益に入ることが多いのですが、津波から逃げるための逃げ道=「いのちの道」があることによって何人の命が助かる、という命の値段は便益に入らないことの矛盾です。
 政府内の計算では、人命は逸失利益で2億4千万円というのがありますが、今までのところ、公共事業分析には用いられていません。
 今回、国土交通省の事業も点検しましたが、事務方によると、長年非常に注目され、叩かれてきている役所なので、ミスが少なく、めだった指摘事項もありませんでした。しかし抜本的な方法論の転換の必要性の問題意識は持っていただいているようなので、評価所管の役所としては、問題指摘は続けていかねばなりません。

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