実は、全部読んではいないのですが、あまりに感想を求められるので、ちょっと一言。

背伸びをせずに辺境人として生きればいい、というのは、競争に疲れて、休みたい、一時でも優しさが欲しい、という空気に、合っているので、難しい文庫なのに、19万部も売れているのでしょうね。


「日本は米国のように、建国の理念があって国が作られているのではありません。」それはそうですが、世界的にみれば、アメリカのような先進国からの移民による独立建国こそ例外的で、「よその国があって、その国との関係で相対的な自国の地位が定まる、というのは、欧州でもアジアでもあることではないでしょうか。

だいたい、日本人のどの位が、日々生きていくうえで、自分が親米なのか米国への従属なのか、ということを意識しているでしょうか?
 メディアが、普天間や日米安保問題などでもめると、「米国を怒らせてはいけない」、と書くのは確かに情緒的かもしれませんが、日本のメディアは、どこの国が相手でも、なにかもめごとがあれば日本政府側を非難する傾向がある、珍しい性格をしています。反権力を反国益と混同しているのでしょう。

 国民は、もっと冷静で客観的だと思います。
戦後、先進国で、これだけ低い防衛費の比率でやってこれているのは日本位で、その分を他のことに振り向けることができていた、ということは、有利だったと言えなくもないわけです。

 普天間については、ブログで何度も書きましたが、海兵隊の基地である以上、そして半島や中台間の有事のために、海兵隊が沖縄に駐留する必要がある、という以上、一定以上離れた空港では訓練の意味がありません。海兵隊は有事の時に、敵地に上陸して、最初に殺される可能性のある軍隊です。日頃の訓練は、生死を分けるのです。日本の自衛隊も、日米共同訓練での、海兵隊の厳しいコースには、耐えられない、、。今から自前でやれますか?

 日本に限らず、国として陣取っている場所には地政学的状況が必ず付いて回ります。
 我々は、米中の間から引っ越すわけにはいかないのですから。

 すぐれた分析もたくさん入っているようですが、都合よく解釈されてしまって、「何もしなくていいんだ、誰かなんとかしてくれるんだ」と、日本経済のゆでがえる状態を助長してしまいそうなところが、怖いですね。