中国政府が、ついに、人民元自由化にむけて、大きく舵を切りました。
 これで、中国からの、安価な怒涛の輸出が少しはおさまる、そういう短絡な発想ではすまされない、もっと長い目でみて、日本の国益に大変な影響のある問題であり、こんどの参院選では、とことん、論争を挑まなければなりません。

 日本のアジアにおける優位性は、他国に先立って変動相場の国際通貨「円」を持っていることです。為替の変動によって、利益が激変し、常に政治問題となるなかで、これを維持してきた、、。
 通貨の信頼性は一朝一夕に築けるものではなく、特にプラザ合意前後から、G7のメンバー、主要先進国として、アメリカの貿易赤字解消、国際金融の安定に一役かってきた、時によっては主導的な役割すら果たしてきた歴史があります。
女性初のG7政府代表だった私は、クリティカルな場面を、何度も経験してきました。

 中国がいつ、自由化に踏み切るか、私は、オリンピック、万博後、景気の反動や政治不満の顕在化があって、それを乗り越えてからかな、と思っていましたが、機を見るに敏な、彼らの決断は、絶妙なタイミングでした。 アメリカからの度重なる、「圧力」というより、もはや「懇願、お願い」もあり、そして、中国自身が、「いいとこ取り」だけではすまされない、国際経済の責任ある機軸国になろう、ならざるをえない、それが中国の国益、と覚悟を決めたのでしょう。
 人民元が完全自由化されれば、世界貿易の中での、使用比率や、各国中央銀行における保有割合は格段に上がります。
 そして、人々は日本政府や日銀の政策決定以上に、中国政府や中国人民銀行の一挙手一等速を見るようになるのです。
 つまり、人民元切り上げの困難さえ乗り越えれば、中国は、軍事力に頼るまでもなく、アジアでの経済覇権を手中にできる可能性がぐんと高まるのです。

 私は、自分のマニフェストでもある「日本経済を衰退から救う、真実の議論」のなかの、「7つの自立」の1つとして、「鎖国妄想から自立」を提言しています。いつかはそうなる、アジア連携の中で、日本がグリップを握れるとしたら、ここしかない、通貨の主導権、にむけた戦略をすすめるべきなのです。民主党の議連や、一部の実務経験のない評論家が素っ頓狂に提言している「1ドル=120円固定相場」が、いかに中長期的な日本の地位の衰退に繋がるか、、。
 このままでは、私達の次の世代は、(さすがに「元」という呼び名はあまりに露骨なので)、「エイジアン」「エーユー」とか、「ユーロ」が事実上ドイツマルクであるように、中国の経済指標、財政指標、国債格付けを基準値に、運営される通貨で買い物をし、給料をもらうことになってしまいます!
 イギリスのポンドのように、名誉ある孤立を守るには、これまた経済財政の数値が良くないと、信頼はされません。スイスフランのように、プライベートバンクの国として生きるには、日本は巨大すぎるでしょう、、。
  
 そもそも、「一番じゃなくても2番以下でいい」という発想を、国際通貨戦争に適用されては、「二流の国でいい、機軸通貨「人民元」に従えばいい」、という結果になってしまうのに、、。
 これを避けるためには、財政の健全化に道筋をつけ、円の信頼性を高めておかなければなりません。

成長戦略が必要なのも、日本が国際経済社会の1部リーグに残るためのものなのです。
日本、待ったなし!だから「この夏は、やわらちゃんより、さつきちゃん」なのです!